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広場と港街の中間辺り、画家と剣士と学者の家。
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僕は小さな道を歩いていた。
一陣の冷たい風が頬を通り過ぎた…


―雪上の砂時計―


行き着いた場所はがぁらの雪広場…
子供達が笑い遊ぶ場所。
そして獣人戦争の戦場の一つだった場所。


今は子供達の笑い声が静かに響く…


静かに…




本当に静かに…





「もう戦の跡も無いのですね…」

そう呟いて、僕は眼前を見渡した。
そこにはもう降り積もった粉雪しかなく
そこにはもう踏み荒れた土地と笑いしかなく。


「そういえば、あの日を思い出す…」


雪の中、大切な人を失った…
いや…僕が殺したも同然の人…

………僕は殺人者なのかもしれない。

唯一、好いていた。
今もずっと、ずっと大好きな人…
朽ちていく感触が冷たすぎた…
寒さとも区別がつかなかった…
絵の具のように飛び散っていた紅い雪…
苦しそうな白い吐息…
途切れ途切れに聞こえた声………


「君が…俺を殺したんじゃない…… 君は…強く…生きて…ずっと見守ってるから…」


無理して微笑んだ…何度も微笑んだ…
でも微笑みは返ってこなかった。
返事も…
楽しい日々も…
僕の心の支えも…
何もかも全て…
二つの崩れた身体は雪に埋もれて、しばらく動かなかった…
涙はとめどなく流れた…そして紅い雪に染みていった…


翌日見た光景は、紅い雪など無い、真っ白な雪原だった。


子供が誰も居なくなり、広場には僕一人だけになった。
「今なら…私を許してくれる…?」


獣人も人間もこの場所を紅く染めたことをと思うと、
勝手に涙が溢れて、頬を伝った。
止まることは無かった。
昔と全く同じ状況だった。


この場所に降る粉雪は白い星のようで、
白い砂時計のようで、
貴方との時を戻してくれる気がした…



この指輪、どうかあなたに届いて下さい…
僕は銀色の指輪を空に向かって放り投げた。
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