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広場と港街の中間辺り、画家と剣士と学者の家。
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【LOST - 画家と魔術師の境界線 -】

それは、数日前のこと
-風の運ぶ噂を聞いて僕は本土を発ち海を渡った。
吐き気がしそうなくらい眩しい太陽の光
極彩色の熱帯植物に
限りなく広がる周囲のブルー
…僕を出迎えたのはそんな光景。

誰しもがあまりの美しさに感嘆の声をあげ、はしゃぐであろう絶景。
まさしくこの世の天国!!
でも僕は違う。海を睨んでいた。
深い青の目に海の青が映えるくらい見つめていた。

「…はい?なんでしょうか? 船酔いしたんだろう!、って?
 違いますよ。最新型の定期船で向かったので揺れも少なく快適でしたよ。」

僕は海が苦手だ…
海を見ると故郷を思い出す。
小さな町、丘の上の魔術学校、近隣の港町から香ってくる磯の匂い…

思い出す、断片的に

祖父の死、魔力が消える、家族からの中傷、家出、
助けてくれた恩師は行方知れず、居たはずの恋人も自分の真名も気付けば失っていく…

僕は覚えている。
魔力が内側から弾け飛ぶような感覚も
愛する者が消えて行く様も
人を刺しえぐる切っ先の鋭さ、生温い紅が手を、身を染めた事も…

海を見ると僕は思い出す。忌々しい記憶を生んだ故郷を

「美しい景色を留めることのできる画材はあるのでしょうか? 
 美しい景色を留めることのできる魔法はあるのでしょうか?」

僕は、絵が、誰かを笑顔にする魔法になればいいなと思う。
…けれど、あの景色は描けない。

だって
肝心なことは何も思い出せない
本当の名前とか心から愛することとか。
描けば僕のエゴでキャンバスを埋めてしまうだろう
…海の美しさは留められない


本当に愛したものは
いつもあっというまに消えてしまう。
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